・・・ 2004年1月〜6月 ・・・




○ 花とルー
○ 満願寺の枝垂れ桜

 卒業式の記念講演
 ハイテク犯罪に気を付けよう!
○ 和さんのケガ
○ 
ピンチと絆
○ 
お正月と年賀状



○ 花とルー  2004年 4月24日

わが家の犬の中ではルーが一番おとなしい。
素直でよくいうこともきく。

 最近はウッドデッキで金さん&和さんと
 一緒にお茶も楽しでいる。
 ごく薄い香りだけのコーヒーに牛乳をたっぷり入れた
 ルー用のお茶を和さんが入れる。
 金さん&和さんがおしゃべりしながら
 ゆっくりコーヒーを飲んでいると
 先に飲み(なめ)終わったルーが
 おねだりをするように寄ってくる。


あの日 二十世紀から二十一世紀に変わる大晦日の夜ルーは自分で鎖をはずしていなくなった。
和さんと息子が必死で探したがみつからない。
それが 数日たったある日 家からそう遠くない畑の中でうずくまっているルーを
和さんと息子が見つけたのは幸運だったとしか言いようがない。
二人が車でお使いに出かけた時 白鷺が飛び立った畑を見るとルーがうずくまっていたという。
交通事故にでもあったのだろう。
ルーは両前足を骨折していて歩けなかった。
それでも後ろ足とあごで必死に家に帰ろうとでもしたのだろうか?
立ち上がることもできないルーのあごは真っ黒に汚れていた。

瀕死の重症で声も出ないルーはどんな気持ちでいたのだろう。
誰か見つけてくれるのを必死に願っていたに違いない。
それでも家には戻れずにうずくまったのだ。
ルーが見つかった日の夜 また雪が降り一面の雪原になった。
「発見がもう一日遅れていたら」と思うとゾッとする。

骨折した両前足は動物病院の手術で左足だけ付いた。
右足も手術したが、複雑骨折のため付きが悪くいまもブラブラしたままである。
「お手!」というとそのブラブラする右足をそっと出してくる。
どうやら神経はつながっているらしい。

一年中庭で番犬をしているルーは約一ヶ月で声を取り戻した。
この頃ではすっかり元気になってアインやベルが吠えると以前のように吠えている

※ トップページの写真(2004.4.24現在)は庭の花とルー

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○ 満願寺の枝垂れ桜 2004年 4月 2日

4月1日の午前中3月30日の読売新聞埼玉板に載っていた行田市の満願寺まで
枝垂れ桜を見に行ってきました。家から車で40分ぐらいでしょうか?
行ってみると樹齢600年という枝垂れ桜が見事でした。
枝垂れ桜は大木が一本だけでも不思議な風情があります。
新聞には「100人ぐらいの見物客が・・」と載っていましたが
金さん&和さんが行った4月1日は平日のためか予想外に少なく
見物の人は20〜30人ぐらいでした。
ただ、次々に新しい人たちが訪れるので、一日の延べ数では相当になりそうです。
平日でこのぐらいですから週末は相当多いだろうなと思いました。
でも、寺の駐車場はそんなに広くない(20台ぐらいか?)ので
20〜30人ぐらいがゆっくり見るのにはちょうど良い人数だと思いました。

枝垂れ桜を金さんが持っていたデジカメでパチリとやるはずでしたが大失敗!
カメラを向けてシャッターを押すとピッピッピッと音がします。確かめると
デジカメにCFカード(デジカメの記録装置)が入っていないではありませんか。
昨日の権現堂桜堤の桜を、パソコンに取り込むためにCFカードをパソコンに
さしたまま忘れてしまったのです。
写真を撮りに行ってフイルムを忘れるのと同じでショックが大きく情けなくなりました。
こんな大事なときにデジカメが使えないなんて、これも後遺症でしょうか?
それとも年齢から来る物忘れでしょうか?
暫く考えて「そうだ携帯電話がある!」と思いつきました。
しかし、携帯電話のカメラを金さんは使ったことがありません。
それでも「なんとかなるだろう!」と、カバンに入れていた携帯電話をだして
メニューでカメラを探しました。
ようやく携帯電話のカメラで枝垂れ桜を撮り保存することができました。
家に帰ってからNTTーDoCoMoの説明書を読んでみましたが
保存してきた写真の画像をパソコンへ取り込む方法がわかりません。
厚い冊子ですが肝心のことがわかるように載っていないのです。
楽しい花見でしたが、わかりにくいマニュアルに泣かされた日でした。

午後は町の保健センターで計画している「リハビリ教室」に参加する予定日です。
しかし、疲れがドッとでたので和さんに電話してもらいお休みしました。
ベッドで「こうして老いていくのかなあ!」とぼんやりしているうちに
いつの間にか眠っていました。

※ 嬉しいじゃありませんか! 4月3日お天気だったので
  和さんがもう一度満願寺まで枝垂れ桜の写真を撮りに行ってきました


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○ 卒業式の記念講演 2004年3月12日 

3月5日(金)に青梅看護専門学校の卒業式の記念講演に招かれたので概要を報告します。。

・講演の依頼

昨年秋に「本校の卒業式の記念講演をお願いできないでしょうか」という依頼がメールであった。
学校の副校長が知人に紹介されて『車椅子の視線から』のホームページを見てメールをくれたようである。
「4月から看護師(社会人)となる学生へのメッセージと車椅子の生活になった自分自身の体験を話してくれませんか」
という内容である。
金さんも東京都に在職中、看護専門学校の学生や都立病院に採用した看護師への講演はやったことがある。
だが卒業式の記念講演ができるだろうか?若干の不安があった。
メールが届いたちょうどその頃、病院建築の専門雑誌に載せる原稿を執筆中であったからである。
しかし原稿を書きあげた後の目標が欲しかったので軽い気持ちで引き受けた。

・講演の準備

講演の準備に取りかかったのは年が明けてからである。
看護専門学校の担当係長にメールで連絡しPowerPoint(パワーポイント)が使えることを確認してあった。

「講演では、プロジェクターを使えればありがたいです。だいぶ改善しているとは言いながら、
言語障害のため長時間話すと聞き取りにくくなるので、PowerPoint(パワーポイ ント)を使ってできるだけ
学生さんにわかりやすい講演にしたいと考えています。
とはいうものの、私は、まだ講演でプロジェクターを使ったことがありません。
パワーポイントでの原稿作成もはじめてですが、何事も挑戦ですのでこの機会にパワーポイントを使って
原稿を作り講演をやってみようと考えています。」

講演での過去の経験から話だけでは単調で聴く方がつまらないし自分も疲れてしまう。
その上言語障害で聴きにくい点もあるので、思い切ってパワーポイントのスライドを利用しようと思ったのである。
とはいってもPowerPoint(パワーポイント)のスライドを見てはいたが作るのは初めてである。
パソコンにパワーポイント2000がインストールしてあるのだが利用したことがない。
「何とかなるだろう!」と、本箱からパワーポイント2000の参考書を出して勉強を始めた。
ソフトを起動して画面を見ながら本を見るのだが、どうしても理解できないところがある。
いろいろやってみるうちに一週間後ようやく理解できた。
パワーポイントでまとめた講演原稿を二月中に看護専門学校の担当係長にメールに添付して送り
実際にプロジェクターで写してみて文字のサイズや色なおで見にくくないか教えてもらい手直しした。

・講演の前日

金さんの家から青梅看護専門学校までは、埼玉県の北東の端から東京都の多摩までなので
電車を使うと100キロ以上ある。
しかし道路地図を見ると関越自動車道から圏央道が一部開通しているではないか。
車で行くことにし講演がはじまる午前10時に遅れないようにと前の日は青梅かんぽの宿に泊まることにした。
妻の和さんの運転で4日の11時頃家を出て加須市から関越自動車道のインターがある東松山市に向かう。
東京方面へ少し走ると高坂SAである。高坂SAでトイレ休憩と昼食をとった。
休憩して鶴ヶ島JCTから圏央道で行くと青梅は驚くほど近い。
これなら健常者は朝からでも間に合いそうだ。しかし、多摩と北東埼玉では天候が随分ちがう。
家を出るとき晴れていた空が青梅に着くとみぞれに変わっていた。
明日の卒業式は大丈夫だろうか?と心配になる。
青梅かんぽの宿に着いてから、「青梅看護専門学校までどのくらい時間がかかるか確かめてみたい」と
和さんが言うので走ってみる。その頃にはもうみぞれがやんでいた。
青梅の街はあちこちに梅が咲いていて綺麗だった。
夕暮れどきかんぽの宿の窓から見える多摩川を見た。
曲がりくねって流れる岩の上にいるのは川鵜だろうか?じっと川面を見て動かない。
少し下流にいたもう一羽の川鵜(?)が突然川の流れに飛び込んで見えなくなった。
静かな多摩の夕暮れである。

・講演の当日

3月5日の卒業式の日は晴天である。
青梅かんぽの宿から20分程で青梅看護専門学校に着いた。
学校の職員に挨拶して、講演の打ち合わせをする。
講堂が二階ということなので、事前に一階にある障害者用トイレに寄っておく。
10時少し前に男子の学生が数人控え室に迎えに来た。
会場がある二階への階段の昇降と講堂の壇上への昇降を手伝うためだ。
金さんの体重が60キロ、簡易型の電動車椅子が23キロなので、
二階への階段は男子学生にも大変である。
それでも、踊り場で休むことなく一気に登り切った。
「車椅子の人を運ぶときは車椅子の向きを上向きにしてずり落ちないように」とか
「車椅子の何処を持ったら良いか」とか、
「降ろすときは車椅子の後部からゆっくり降ろす」とか、
看護専門学校の教師が親切に指導しながら実践してくれた。
車椅子生活の障害者が学校に行くと、学生もバリアフリーについて考える良い機会になると思った。

講演は一時間半の予定である。
講堂には予定通りパワーポイントのスライドを使うためにプロジェクターがスタンバイしてある。
講堂の壇上に運んでもらうと、右側に机が置かれていたので車椅子でそこに移動する。
担当者が首にかけるマイクを用意し水差しを運んでくれたので、あらかじめコップに半分ついでもらう。
壇上から見ると学生と教職員で300人位いるだろうか?
司会者に紹介されておもむろに講演をはじめた。
講演をはじめてから、暗いので用意してある手元の資料が見えないので困った。
だが、暫くして担当者がスタンドを用意してくれたので助かった。

講演では
・自分の現在の生き方(インターネットライフ)
・インターネットでボランティアもやっていること
・インターネットで交流することが「心のリハビリテーション」になっていること
・インターネットライフで生きがいも見つけたこと
・自分の脳血管疾患歴
のことなどを自分のホームページを紹介しながら話した。
脳出血の後遺症で52歳から車椅子の生活になったけれども、良き伴侶、家族、職場の上司、同僚、
友人など多くの幸運に恵まれて復帰できたことを話した。
そして、いつもポジティブ(積極的・肯定的)に生きていると運を掴むこともできることを話した。

講演が終わると質疑の時間に
「バリアフリーでない学校でどんなことを感じましたか?」と学生から質問があった。
「この学校はバリアフリーではありません。でも、二階への階段の昇降や講堂の壇上への昇降を手伝うなど
看護の心でバリアをカバーする「心のバリアフリー」が感じられ嬉しかったです。」と答えた。
最後の学生の代表から花束を贈られたので金さんも感激した。

・講演を終えて

卒業式の記念講演という大仕事を終えてホッとしている。
引き受けるときには不安もあったが、終ってから、引き受けて良かったと思っている。
つたない話しではあるが、学生が現場に出たときに何か思い出してくれたら嬉しいと思う。

青梅看護専門学校の校長先生、副校長先生はじめ職員の皆さん、そして学生の皆さん
お世話になりありがとうございました。

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○ 「ハイテク犯罪」に気を付けよう! 2004年1月26日 

最近電話を使った「オレオレ詐欺」が多発しているとニュースで報道されている。
孫を装った犯人から「オレオレ、いま交通事故を起こして被害者の家にいる。3時までに振り込めば示談に
してくれるというのでおばあちゃん急いで銀行に振り込んで!これは僕が返すからお母さんには言わない
でね!」
というようなことをいわれ何十万円も振り込んだのに、詐欺に気が付いたときには銀行から全額
引き出されていたというような手口が、つい先日もNHKの『生活ホットモーニング』で紹介されていた。

「オレオレ詐欺」は高齢者ほど被害にあいやすいというので、「電話を使ったオレオレ詐欺にだまされない
ように気を付けよう」と夫婦で話していたら、夕べ金さんに、アダルト関係の有料情報閲覧料の請求を装う
メールが送られてきた。
これまでも、アダルト情報のページにリンクを張ったメールや、画像を添付して一方的に送られるメールは
きていたが、すべて無視して「メールのゴミ箱」に捨ててきた。
今回のように具体的に金額を入れて請求メールがきたのは初めてである。
ハイテク犯罪の手口は巧妙だという。
被害者が、面倒なことに巻き込まれることを嫌って支払ってしまいやすいように2〜3万円と比較的少額の
ものが多いらしい。このようなメールの送り手は、相手がメールアドレス以外の情報を持っていない場合が
多いという。
埼玉県警のホームページでそれを知っていたので、金さんはこの請求は無視することにした。
それでも、なおメールが送られてきたら、埼玉県警のハイテク犯罪対策係か近くの警察署に相談しようと
考えている。

※参考

埼玉県警のハイテク犯罪対策係のホームページ
http://www.police.pref.saitama.jp/jikenjiko/seianbu/seian/sean0010.htm

インターネット利用上のトラブル防止について
http://www.police.pref.saitama.jp/jikenjiko/seianbu/seian/sean0014.htm

都道府県警察本部のハイテク犯罪相談窓口等一覧
http://www.npa.go.jp/hightech/soudan/hitech-sodan.htm




※ 送られてきた詐欺メールの文面


あなたの未払記録につき平成16年2月6日までに正式な関係書類を持参の上、あな
たの自宅に訪問します。
----------------------------------------------------------------------------
1.. あなたが後払い会員登録した下記通信料金※1が未払いのままです。
2.. 支払い期限※2が過ぎておりますので、料金(延滞利息等を除く)には年14.5% の割合で
計算した延滞利息※3が別途加算されています。
3.. 訪問を拒否する方は支払いの約束※4をして頂きます。
※1当サービス利用料金です。
※2下記支払期限を参照して下さい。
※3支払日によって変動します。
※4訪問を拒否する方はこちらをクリックしてください。

----------------------------------------------------------------------------

ここをクリック
訪問を拒否する方はこちら
支払いの約束をして頂きます

----------------------------------------------------------------------------
あなたの「通信記録」

2003/07/03/22:21

----------------------------------------------------------------------------
あなたの「申込記録」
a.. 登録日時 :平成15年7月3日(木)22:07
b.. 支払期限 :平成15年7月10日(木)15:00
c.. SITE名  :AV天国
d.. 商品名  :銀行振込後払い会員180日パック
e.. 期間    :180日
f.. 料金    :¥36,800

----------------------------------------------------------------------------
※注意
a.. 当方は法人ではありません。独自の判断で回収致します。
b.. あなたの自宅に訪問する際、交通費、調査費等は当方が負担致します。
c.. 原則として午前9時から午後8時までの間に訪問致します。
d.. あなたが留守の場合、訪問時間が大幅に前後する場合があります。
e.. 本状到着までにお支払いの場合は、行き違いにつき何卒ご容赦下さい。

----------------------------------------------------------------------------

 




金さんはアダルト情報を見たいとも思わないので、この種の会員登録をしたことがない。
なお、詐欺まがいのメールに「訪問を拒否する方はこちらをクリックしてください 」とあるのに、
クリックして飛べるようにリンクされていなかった。
一方的に多くの人にメールを送りつけ、メールをみた人が驚いて、返信メールで文句を言ってくる。、
そういう反応を待って、こちらの情報を得ようとしたのだろうか?

■ ネットで架空料金請求トラブルが急増!


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○ 和さんのケガ 2004年1月23日(金)

妻の和さんの足のケガがだいぶ良くなった。
医師から「無理をしなければ運転してもいい。」と言われていたので
昨日の夕方、外来の空く頃を見計らって自分で車をゆっくり運転して
病院に行き抜糸をしてもらってきた。
経過が良いようで縫ったところがうまくくっついたようだ。
ただ、ケガのあるかかとの側は筋肉をよく使うところなので、
決して無理をしないように医師からきつく言われたという。
もともと働き者で、いつも何かしていないと落ち着かないという性格なので
ケガで休んでいると罪悪感に襲われるという。
金さんのように大病したことがないので、病人にはなれないのだろう。
先週、娘たちが交代で手伝いに来てくれたときも
「介護する人が介護される人になっちゃった!」と落ち込んでいた。
落ち込むと鬱になる恐れもある。
そうならないためにも、経過を見ながら少しずつ和さんの仕事を増やそうと思う。
手始めに今日は昼風呂に入れてもらった。
ミカンの皮を入れたお湯につかりながら
和さんが一日一日元気になっていくのが嬉しいと思った。

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○ ピンチと絆 2004年1月17日(土)



妻の和さんが右足を十七針も縫うケガをして松葉杖になった。
和さんが『熟年夫婦の田園生活』に「こいつは春から縁起がいい!」と、
書いたばかりだというのにわが家は突然大ピンチである。

話しは一月十二日(月)の午後にさかのぼる。
ご近所にお使いに行こうと、和さんが自転車を出しに車庫にいった。
しばらくして「痛い、痛い!」と悲鳴を上げて戻ってきた。
見ると右足に巻いたタオルに真っ赤な血が滲んでいる。
「後ろ向きに自転車を出そうとしてうっかりアインの足を踏んだらしいのよ!」
散歩にでも連れて行くと喜んでまとわりついたアインを
まとわりつかれて、思わずよろめいた和さんが、うっかり踏んだらしい。
アインは雑種だがオオカミのような牙をして口が大きく力も強い。
そのアインに噛まれたのだから痛いに違いない。
滅多なことでは噛まないアインだが、噛んだのは防衛本能かも知れない。
足を踏まれた驚きと痛さで、とっさに噛みついたというのが真相のようだ。

「救急車を呼ぼう」と和さんに言うと
「前の田んぼに○○さんが来ているので連れて行ってもらうわ」と言う。
幸いその日、田んぼのちょっとした工事のために近所の○○さんが
手伝いに来ていた。
何かあるとご近所さんはありがたい。
この日ご近所の人にお願いし病院に連れて行ってもらったので
町の救急車を呼ばずにすんだ。

病院で和さんが医者に
「少し縫わないと駄目ですか?」と聞くと、医者は
「少しどころかいっぱい縫わなければだめ!」といい
「参ったなあ!」と当直の不運を嘆くかのように呟いたという。
それでも、局所麻酔をして手際よくいく針も縫ってくれたそうである。
狂犬病の予防のため破傷風の予防注射もして、
「一ヶ月後もう一度破傷風の予防注射に来て下さい」と言われたという。

「参ったのはこっちよ」と和さんは思ったらしいが
十二日(月)は祝日なので外科の処置ができる医者がいただけでも
運が良かったと諦めたようだ。

病院から松葉杖で帰ってきた和さんが痛々しい。
元気もないようである。
抜糸には一週間から十日かかり、その間毎日病院に通院してくれと
言われたそうなので、通院する方法も考えなければならない。
和さんは飼い犬に噛まれたショックが尾を引いているようで

「アインは少しどう猛だから処分した方がいいかも知れない!」という和さんを
「アインが噛んだのはそれ相当の理由があるんだよ」となだめた。

「飼い主が近づくとまとわりつくのは犬の本性さ、だから、犬小屋の近くに
 自転車を置いておく方が悪いんだよ。」
「アインだって側によって行ったら突然よろけた和さんに足を踏まれたので
 驚きと痛いのが重なり思わず噛みついたのだとおもうよ」と金さんが言う。 



それにしても、金さんは車椅子、和さんが松葉杖では困ったものである。
わが家の人間三人と犬猫五匹の食事の世話を考えなければならない。
風呂、洗濯、掃除、暖房(石油ストーブの石油の補充)などの仕事もある。
夜九時過ぎに職場から戻った息子に、明日からの手伝いを頼んだ。

翌日の火曜日、息子が早起きして出勤前にパンと牛乳で簡単な食事を用意してくれた。
三匹のワンちゃんと二匹の猫ちゃんの食事もやったという。
石油ストーブも満タンにしてくれた。
昼は二人なので、和さんと相談してお餅を食べる。
問題なのは和さんの通院である。
消毒などをするのだろう。毎日病院に来るように言われているという。
病院の外来は午前中混んでいるので、外来の終了間近の五時近く行くことにして、
昨日和さんを連れて行ってくれた近所の人にお願いした。

ここは和さんの生まれ育った土地である。
日頃からご近所と仲良く付き合っているので、
困っているときにはご近所で助け合えるのでありがたい。
それでも、和さん→長女→次女の順に「わが家のピンチ!」の情報が伝わり、
次女夫婦が十四日の午前群馬の桐生から車で駆けつけてくれた。
両親とお寿司屋さんをやっているのだが、予約が入っていないので、
次女に手伝いに行くよう言ってくれたという。
次女だけ置いて彼は直ぐに戻った。

最初に次女が家に泊まって手伝い、週末は長女が手伝いに来るという。
知らないうちに、今度も長女、次女、長男の三人で介護リレーの順番を決めたようだ。
三人子供がいると、ここまで育てるのは結構大変だったが、成長すると頼りになる。
金さん&和さんも子供たちに恵まれて幸せだと思う。

十四日、金さんも風呂に入れてもらった。
十六日(金)の午前中に次女が群馬に戻り、代わって夜、横浜に住んでいる長女が
勤務先の仕事が引けてから駆けつけてくれた。
十六、十七と二晩泊まって手伝ってくれるという。
その後は長男が休みになる。

二回目の脳出血の後、金さんが車椅子で復職したときにも、
マンションを借りて金さんと一緒に住んでくれて身の回りの世話をしてくれたのも、
長女と次女である。
家には長男が残っていたので、家のことと義母のことは和さんと長男に任せられた。

十七日、長女と病院から戻った和さんが
「経過は良いらしいよ。車の運転もそろそろ初めてもいいらしいよ。」という。
先生にいわれて嬉しかったらしい。
今にも雪が降り出しそうな寒い土曜日、金さんが長女に入浴を手伝ってもらった。
その後で暖かい部屋で和さんと長女の三人でお茶を飲んだ。
外は冷えている。今夜は雪になるらしい。

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○ お正月と年賀状 2004年1月7日(水)

2004年のお正月は暖かい日が続いて久しぶりにのんびりと過ごした。
例年は子供たちの他に、金さんの兄姉妹や甥や姪たちがきて、
賑やかに新年会をやっているが、昨年12月に義母の一周忌をやったばかりなので
今年は家族だけで過ごすことにしたからである。

元旦は、嫁いでいる娘たちがやってきたので賑やかに過ごせて嬉しかった。
嬉しい反面、夜娘たちがそれぞれの家へ帰るとホッとする。
娘たち若い者には若い者の、金さん&和さんには熟年の過ごし方があるのだから
これからもお互いに、それぞれの気持ちのわかる親子の関係でありたいと思う。
二日と三日にはテレビで箱根駅伝を楽しんだ。
駒大が順当に3連覇したが、予選会から勝ち上がった亜細亜大が総合三位、
法大が総合四位に入ったのは見事だった。

金さんにとって、年賀状はお正月の楽しみの一つである。
車椅子の生活になってから、ふだんの付き合いが減っているので、
年賀状で友人たちの近況を知ることができるのはありがたい。
「年賀状は儀礼的な習慣なのだからもう止めよう」という声も少なくないが、
国や都道府県、市町村などが、事務の軽減や経費を削減するために年賀状をやめるのとは違い、
個人間の年賀状は交流におおいに役立っているので、これからも続けようと思う。
ニュースによると、年々減り続けた年賀状の売れ行きが今回は増えたそうである。
日本郵政公社になってから、今回は初めての年賀はがきの発売だったことも
影響しているに違いない。

今年金さんの所に来た年賀状をみると特徴が三つある。
一つは手書きが減り、パソコンで印刷したものが増えたことである。
二つは印刷にデジカメの写真を使った印刷が増えたことである。
特に 子供を撮ったデジカメ写真の年賀状が多いのに驚く。
三つは年賀状にメールアドレスの印刷してあるものが増えたことである。

金さんは1998年の年賀状から自分のホームページ『車椅子の視線から』の
案内をしているが、今年はそれに金さん&和さんの『熟年夫婦の田園生活』の
案内を書き加えた。
今年届いた年賀状に、自分のホームページのURLを書いてある年賀状もちらほらあるので、
楽しみも増えた。
個人のホームページが増えているのは嬉しいことである。

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