エッセイ(車椅子の視線から)

 ・・・ 2007年 1月〜2007年 6月 ・・・



 


花より団子?   
浮野の里     
ありがたい話  

嬉しいことと悲しいこと    
脳を鍛えて人生を再び     
初雪が降らない   
ホームページのリニューアル   






○ 花より団子?  2007年 5月 13日 日曜日

桐生市の群馬大学工学部で4月16日(日)に「しだれ桜を観る会」が開催され桐生に住んでいる次女に誘われたので行ってきました。川崎市に住む長女も一緒でした。
この会は大学が市民の皆さんに工学部をよく知ってもらい、より交流を深めるという目的で毎年開催されているそうです。
大学に近づくと、杖をついた人や車椅子に乗った人、若いアベックなどが歩道を急いでいます。工学部の正門前の道路の反対側に用意された駐車場では、学生が出入りの自動車の誘導をしていました。また道路の横断を誘導してくれる学生もいました。

正門を入ると群馬大学工学部のテントがあり受付をしていました。その直ぐ後ろにしだれ桜が見えています。
噴水池の周辺では、十数本あるでしょうか?しだれ桜がちょうど満開で、訪れた人たちの目を楽しませています。そこでは大勢の老若男女が思い思いの場所で桜を楽しんでいます。また、しだれ桜をバックに、各人の撮影ポイントでデジカメや携帯電話で撮影している人も大勢いました。

嬉しいことにここではお花見のほか、お団子と湯茶の無料サービスがありました。満開のしだれ桜を見ながら食べる団子の味は格別でした。

いろはがるたに「花より団子」というのがあります。意味は「風流より実利のほうをとること。外観よりも実質を尊ぶことのたとえ」とデジタル大辞泉に出ていますが、群馬大学工学部でしだれ桜を見て団子を味わうという取り合わせが面白いと思いました。


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○ 浮野の里  2007年 4月20日 金曜日

初夏のような暑い日があるかと思えば、次の日は雨が降って薪ストーブを焚いてもらいたくなるような寒い日があったりと春の気候はめまぐるしい。車椅子の生活ながらアクティブシニアを自認している金さんは、僅かのお天気の日に和さんを誘ってミニドライブに出かけた。
行き先は先日のNHKテレビで放映されていた加須市の浮野の里【うきやのさと】である。昔ながらの武蔵野の田園風景を残す地域を、加須市は「浮野の里」と名付けて市民とともに保全事業を展開しているという。金さん&和さんの家からも自動車で10分位の所である。
「浮野の里」の野うるしは見頃だったが、木道が狭いので残念ながら車椅子では近くまで行けない。和さんに撮影を頼のんで金さんはあずまやから見える一面に咲いている野うるしを見ていた。木道で絵を描いている人が見える。時間がゆっくりと流れているようなこういうところで絵を描きたいと金さんも思った。

「浮野の里」の後で、加須市の不動ヶ丘不動尊総願寺の門前にあるうどんの元祖を誇る岡村屋といううどん屋に寄って手打ちうどんを食べた。こしのある美味しいうどんである。お品書きを見て和さんが「ナマズの天ぷらも食べてみたい」と頼んだので、ナマズをはじめて食べてみたが白身でさっぱりしていてこちらも美味しかった。
食べ終わる頃合いを見ていたのか「お薬を飲みますか?」と女将さんが水を持ってきてくれた。そのこころねが嬉しかった。「不動尊の裏側に駐車場がありましたよね?」と和さんが訪ねると、「ええ、ありますよ。でもよろしかったらここへ置いてお参りしてきたらどうですか?」と言ってくれたので好意に感謝して置かせてもらった。

※ 加須市ホームページ

※ 岡村屋   加須市不動岡2−6−41
           0480-61-0751

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○ ありがたい話・・・「九十九里・銚子ドライブ旅行」後日談

                              2007年 4月21日 土曜日

金さん&和さんの「九十九里・銚子ドライブ旅行」は今年の三月でした。
その旅行の折に、ネットの友人の思川さんに「ダンさんとカミさんのふるむ〜ん温泉」の掲示板で教えていただいた地球の丸く見える丘展望館の側にあるレストラン「風のアトリエ」に寄ったのですが、そこはバリアフリーのお店ではありません。しかし、お店から男性が二人応援に出てくれて、和さんと三人で80キロの電動車椅子(金さんコミで)を持ち上げて段差の上に乗せてくれました。そこからは、渡してくれた板をスロープ代わりにして金さんが入り口まで電動車椅子でソロソロ上って無事にお店に入ることが出来ました。後からわかったことですが、思川さんがご自分で事前に「風のアトリエ」に電話して確かめてくれていたのでした。

車椅子の生活をしていると、旅行するのも、出歩くのも容易ではありません。大勢の人の応援をいただいてはじめて可能になります。銚子ではあずささんにお世話になって、スムーズに回れました。それだけではありませんでした。金さんが知らない所でも、思川さんのように、いろいろ手助けしてくれる人がいる。そのことを忘れずに感謝しなくてはいけない。そう思った「九十九里・銚子ドライブ旅行」でした。

思川さん、あずささん、カミさんいろいろありがとうございました。

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○ 嬉しいことと悲しいこと 2007年 3月 5日 月曜日

3月3日(土)のひな祭りの日に嬉しいことと悲しいことがありました。
この日は朝起きると前の田圃に真っ白い霜が降りていて寒いので、和さんに薪ストーブを焚いてもらい朝食を取りました。しかし、テレビの天気予報では、「今日は日中晴れて4月上旬の暖かい陽気になるでしょう」と伝えていたので、和さんに相談し午前中は家にいて、昼食の後いつも通り昼寝をしてから、久しぶりに出かる話がまとまりました。
この日の目的は本を買うことと、金さん&和さんでお茶することです。行き先は加須市に決めました。

二時半頃に昼寝から目が覚めると、予報通り良い天気で外も暖かそうです。
準備をして普段使う軽自動車に乗り込みました。自動車が入りやすく出やすいのは、はじめにバイパス沿いの「一誠堂書店」に寄って、帰りに「ギャラリー「野と花」」」に寄るコースです。
加須の一誠堂書店は、加須の街のバイパスが通ってから出来たわりあいに新しい店舗で、この町の書店では珍しく広い駐車場と平屋の店舗に特徴があります。
店舗には本と文房具が並んでいるのと駐車場が広いので、自動車で買い物をする人に人気があります。また、金さんのように車椅子の生活をしている人にも利用しやすいのです。

一つ残念で悲しい出来事は、入り口に近い車いす(障害者)用の駐車スペースを、この日も健常者が使っていたことです。ここの車いす用駐車スペースは、入り口に近いのと、車いす(障害者)の利用客が週末の混む日にはわりと少ないので、空いていることが多いようでした。
そこに、今どきの健常者が目を付けたのでしょう。「空かせておくのは勿体ない、ちょっとの間だから自分が停めてもいいだろう」と、勝手な理屈を付けて停める不心得な健常者が出てきたのです。

一時期、一誠堂の店員にその話をしたのを聞いてくれたのでしょうか?、車いす用駐車スペースに張り紙をした車止めを置くようになり改善されたこともあります。ただ、車止めを置くと障害者が一人のとき車止めを退かすのが不便だと言う欠点もあるので、いつの間にか車止めが無くなりました。そして、再び健常者の駐車が目立つようになったのです。

障害者用駐車スペースに、健常者が駐車しているのはここだけではありません。高速道路のサービスエリアなどでもよく見かけます。せっかく日本で、「交通バリアフリー法」などの法制化が進み、ゆっくりとですが施設面での整備が進んでいるのですから、ここは日本人に頑張ってもらい、バリアフリーの心を誰もが持つように早くなって欲しいものです。

この日の嬉しいことは、書店の後で加須市東栄にある「ギャラリー野と花」にありました。
コーヒーとケーキをいただいた帰りにトイレに寄るとトイレがバリアフリーだったのです。この店は、常設の絵画と作家達による展覧会を時々企画している明るくてしゃれた店です。前に来たときに、トイレが車いすで入れるかどうか確認していなかったので、今回確認もしたかったのです。車いすで入れましたが、しかし、トイレの入り口は引き戸ではなく開き戸でした。オーナーの話では、車いすでも通れるように計って作ったそうですが、ドアが開き戸のためか車いすを自分で操作して入るのはドア止めが車いすに当たり難しそうです。
金さんも、和さんに押してもらってようやく出入りできました。もし、車いす利用者が一人でこの店を利用する時は、店の人に手伝ってもらいましょう。この店は、施設で不自由なところは、店員の心で補ってくれる店です。

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○ 『脳を鍛えて人生を再び 〜福岡 高齢者たちの挑戦〜』

                          2007年 2月26日 月曜日

昨日(2月25日)の夜、NHKスペシャルで『脳を鍛えて人生を再び 〜福岡 高齢者たちの挑戦〜』を見ました。

番組で、福岡県大川市にある社会福祉法人・永寿会で、お年寄りの脳機能が文章の音読や簡単な計算を毎日短時間続けること(学習療法)で回復するケースが紹介されていました。この番組は、東北大学・加齢医学研究所の川島隆太教授と共同で取り組んだ結果だそうです。川島隆太教授は脳科学者で、「脳機能イメージング研究」の日本における第一人者ということです。

驚いたのは、認知症のお年寄りの顔つきが、学習療法の前と後ではまったく違っていたことです。学習療法の前は、行動の意欲が少なく、永寿会のスタッフの目を見て話もできないお年寄りが、学習療法の後では、スタッフの目を見て、見違えるように生き生きと話すのが感動的でした。学習療法で意欲的になり、生きがいも出ているようでした。

私は妻と二人で番組を見たのですが、認知症のお年寄りに効果のある学習療法は、健康なお年寄りにも効果があるのではないかと思ったことです。
加齢とともに物忘れが多くなってきた金さん&和さん夫婦、わけても、私(金さん)は、高血圧性脳症で一回、脳出血で二回も入院しているので、脳の病気の再発など今後が心配です。
そこで、夫婦とも脳の前頭前野(ぜんとうぜんや)を活性化させるため、今までのピアノ・太極拳やパソコン・インターネットなどに加えて「学習療法」も取り入れてみようと話し合いました。



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○ 初雪が降らない
 2007年 2月11日 日曜日

 雪は冬の代名詞である。 その雪がこの冬は降らない可能性があるというので驚いた。
 

 都心に初雪なし47年ぶり記録更新…降らない可能性も

 11日から始まる「中央区雪まつり」の会場設営のため、雪の無い東京都内へ運び込まれた雪(東京・中央区築地の「あかつき公園」で)東京都心では今冬、10日までに降雪が観測されず、気象庁が1876年(明治9年)に観測を初めて以降、最も初雪が遅かった1960年の記録を更新した。
 同庁では今後も暖冬傾向が続くと見ており、初めて雪がまったく降らない冬となる可能性も出てきた。10日も東京都心は最高気温が13・9度まで上昇、3月下旬並みの暖かさとなった。今冬は「エルニーニョ現象」の影響などで、日本付近への寒気の南下が妨げられ、全国的に気温が高く、降雪量も記録的に少なくなっている。


               ・・・2007年2月11日の読売新聞・・・


 脳出血の後遺症で車椅子生活をしている私や、同じ病気の後遺症で寒さに弱くなっている人などは雪が降らない冬はありがたいと思うだろう。しかし、社会には同じ思いの人ばかりではない。逆に雪が降らなくて商売に支障がある人もいるだろうと思う。
 これは「エルニーニョ現象」などの異常気象によるものかも知れないし、そうではなくこの冬の一時的なものかも知れない。しかし、もし異常気象によるものだとすれば、地球温暖化防止などに積極的に取り組まなかった罰として、人間は将来、もっともっと恐ろしい自然の復讐に泣くことになるだろう。

 異常気象をもたらす地球温暖化防止のための取り組みとして、1997年に採択された京都議定書がある。しかし、これも、最大の排出国であるアメリカの離脱などがあり発効が遅れた。今もなお、国際的な場での議論が空回りしているのが現状である。しかし、いつまでも自国のことのみを考え、宇宙船地球号の将来のことを本気で考えないのは、とんだ茶番劇であろう。

 京都議定書は、2004年にEU(ヨーロッパ連合)とロシアが批准して発効要件が満たされ、2005年2月16日に発効した。残念なのが世界最大の温室効果ガス排出国であるアメリカが今もなお京都議定書から離脱していることである。
 アメリカのブッシュ大統領は、京都議定書離脱の理由に米国経済への悪影響と発展途上国に削減義務がないこと等をあげているが、あまり説得力がない。米国は、先進国として世界をリードして行く気持ちがあるのなら、早急に京都議定書へ復帰すべだと私は思う。


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○ ホームページのリニューアル 2007年01月26日 金曜日

新年の大事業として、ホームページ『車椅子の視線から』をリニューアルした。久しぶりのリニューアルであるが、リニューアル前との継続性に気をつけたので、ホームページがそれほど変わったように感じない。ただ、各ページがバラバラだったところはできるだけスタイルを統一した。

だいぶ慣れてきたとは言いながら、四肢麻痺のためキイボードを打つのが障害のない人の数倍はかかるのと、ホームページの容量がだいぶ増えたので、リニューアルには3週間以上かかった。
自主リハビリのためにはじめたパソコンだから、今年もホームページの更新をできるだけやっていこうと思う。



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