エッセイ(車椅子の視線から)

 ・・・ 2008年 1月〜2008年 6月 ・・・



 

脳出血15年目の思い 

枕の値段 
話題に事欠かない年      
日常と非日常           



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○ 脳出血15年目の思い  2008年 4月21日(月) 曇

2008年4月19日で、金さんは1994年の二回目の脳出血から無事14年が経過した。いま思い返すと、52歳の働き盛りに、ある日突然脳出血で倒れ車椅子の生活になりながら、よくぞ今日まで頑張ってこられたものだと、それこそ自分をほめてやりたいと思う。
ただ、これは金さんだけの努力でできたのではない。いつも妻の和さんが側にいて支えてくれたくれたことを忘れてはならないと自戒している。また、子供たち(娘二人と息子一人)の貢献も大きいと感謝している。そして、金さんを励ましてくれた友人(学友、職場の友人、ネットの友人など)にも感謝したい。
車椅子の生活になってから、金さんの考え方や生き方が大きく変わった。頑張ればできることと、頑張ってもできないことを見極めて、後者についてはきっぱりあきらめられるようになった。人間の寿命には限りがあり車椅子の生活でもできることはたくさんあるのだから、金さんは車椅子の生活になっても悲観はしていない。
頑張ればできることについては、自分でできるだけ工夫したり勉強しながらトライするようになった。そして、人の支援や応援がなければできないものについては、遠慮していないで、進んで支援を受けるようになった。これには、この十数年の間に、日本でインターネットの普及が急速に進んだことと、介護保険制度が始まったことが大きいと思う。人間は一人で生きられないのだから、助けたり助けられたりしながら、これからも楽しく生きたいと思う。

金さんはインターネットライフを自己実現の重要な手段だと考えている。これからも、ホームページを更新したり、インターネットで次の著作をすることも考えている。そして、脳出血から二度生還するという貴重な経験と、四肢麻痺と言語障害の後遺症を持ちながら、アクティブシニアとして前向きに生きているありのままの金さんを見てもらうことで、同じような障害を持つ人たちや、障害がないのに落ち込んでいる人などに、「自分だったらもっとできるはずだ!」と希望を持ってもらえれば嬉しい。

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○枕の値段 2008年 2月19日(火)晴

昨年10月ベッドで横になってテレビを見るのに使う枕を新聞折り込みをみて購入した。それは某デパートの新聞折り込みに載っていた4000円の枕だった。届いた枕は予想していたよりもずっと大きい。
「これで果たして使い心地はどうだろうか?」と不安があった。
枕が大きいので、車椅子の生活をする金さんには、自分でベッドに乗せることもできないし、眠るために使う枕と交換することもできない。
毎回その枕(金さん&和さんは高枕と呼んでいる)に交換してくれながら和さんが「はい4000円」、次は「はい2000円」、次は「はい1000円」、次は「はい500円」・・・・・、次は「はい2円」、次は「はい1円」と減らしていき、とうとう想定利用料が一回1円を切った。
当初心配していた使い心地もそれほど悪くないし、それまで時折出ていた肩と首の筋違い?による痛みも、この枕に効果があるのか?ピタリと治まった。テレビを見るのに買ったのだが、しばらく見ているうちにまぶたが落ちてきていつの間にか眠ってしまうこともあるらしい。
「4000円の枕もそれほど高くはなかったねえ」と、金さん&和さんは顔を見合わせて笑った。
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○ 話題に事欠かない年 2008年 1月 6日(日)晴

お正月二日、三日に行われた第84回東京箱根間往復大学駅伝では、昨年優勝した順天堂大、大東大、東海大と三大学の選手が体調に異変を起こし途中棄権するという異例な結果に終わり驚いたが、翌日四日の東京株式市場の大発会では、去年の年末に比べ大引けで昨年末比−616円となりこれも驚いた。
これは大発会で見ると2001年以来7年ぶりの下げで、下げ幅は戦後の東証再開以来最大だと言う。波乱含みのスタートは、NY原油先物市場の高騰、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題による米景気減速の観測などが強まり、昨年末の米国発の株安が、年明け以降も日本や欧州市場に大きく影響しているように思われる。

いろいろな意味で2008年は波乱含みのスタートとなったが、今年は米国では大統領選挙が行われるし、日本でも衆議院議員の解散による選挙が予想されるので、話題に事欠かない年になりそうである。
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○ 日常と非日常 2008年 1月 5日(土)晴

元旦に次女夫婦、2日に長女夫婦、3日に甥夫婦が年賀に来てくれた。娘夫婦はどちらもマンション暮らしで餅つきもしないし、おせちも作らないと言う。娘たちが帰るときに和さんがついたお餅を一臼分お土産に持たせるのがこの所の慣例になった。
毎年お正月にはそれぞれ年賀に来てくれるのでそれはそれで嬉しいのだが、子供たちが帰ると金さん&和さんともにホッとするのは何故だろう。きっと金さん&和さん夫婦が若くもないので、のんびりした日常に慣れてしまい非日常に疲れるからかも知れない。

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