エッセイ(車椅子の視線から)

 ・・・ 2009年 7月〜2009年12月 ・・・




○大晦日の思い 
和さんの腰椎圧迫骨折・・・その後・・
オレオレ詐欺  
介護者和さんの骨折  
○ボットウイルスの驚異! 
○「脳の秘密 未来はどう変わる?」 をみて  




 ○大晦日の思い

早いもので2009年も大晦日である。今年もいろいろなことがあった。
4月には日本三大桜の一つ三春滝桜(福島県三春町)を見て会津に足を伸ばし「大内宿」を訪れ楽しい旅をしてきた。
続いて5月には金さんの兄夫婦、姉夫婦の6人で新緑の那須高原へ旅行を楽しんで来た。
そして、秋には故郷長野県信州新町へ帰郷した折に、初めて紅葉の乗鞍高原に遊び、続いて飛騨の小京都と呼ばれる高山市を訪れた。
今年残念だったのは晩秋に予定していた蔵王と米沢の旅が、和さんの思いがけない腰椎圧迫骨折という事故で中止になったことである。
和さんの腰椎圧迫骨折は、金さんのために車椅子の散歩道を作ってやろうとしたことが原因である。
いくら若い時に畦畔ブロックを運んだことがあるとはいえ、あの重い畦畔ブロックを180枚も自分で運ぼうとしたのは少し無謀な試みだったようだ。
しかし、和さんの骨折りの苦労は金さんのためだった。それが実を結んで屋敷の敷地内に立派な車椅子の散歩道ができあがった。
おかげでお天気の日には車椅子の散歩道に出て散歩するのが金さんの日課になっている。

今年は次女の子供が満一歳になり歩き始めた。
金さん&和さんも年々おじいさんおばあさんになって行くのもやむを得ないようだ。
残る楽しみは息子の結婚である。

2010年はどんな年になるのだろう。
また一つ歳をとることになるが、金さん&和さんも『アクティブシニア』として、旅行や趣味などに、いっそう前向きに取り組みたいものである。


目次に戻る


○和さんの腰椎圧迫骨折・・・その後・・・

和さんが腰椎の圧迫骨折をしてから約二ヶ月半過ぎた。
まだ完全修復ではないが骨折したところはだいぶ良くなって、
最近では家事の一切をゆっくりならやれるようになっている。
勿論無理は禁物なので自分でもそろりそろりやれように気をつけているようだ。
今も腰椎用軟性コルセットを使用しているが、これも起きている間だけで、寝るときは外している。
それにしても人間の治癒力、修復力はすごい。
日にちが経つと少しずつ良くなっていくから不思議である。

和さんが出来ない間お願いしていた給食サービスは約一ヶ月間で、
金さんの入浴サービスも約二ヶ月間で終わりにした。
金さん&和さん夫婦も、老老介護の仲間入りをしているので、
こういう時に利用できるサービスが
介護保険サービスだけでなくいろいろ増えてきたのは有難い。
ただ、どのようなサービスがあるのか?を調べておくことが大切なので、
金さんの介護保険のケアマネージャーなどに相談して理解を深めたいと思う。

和さんが身を挺して試みた「車椅子の散歩道」の工事は、その後金さん&和さん邸の新築工事を担当した
白石工務店にお願いして完成した。
さすがはプロである。予想以上の素晴らしい散歩道が完成した。
お天気の日には車椅子で庭に出るのが楽しみになっている金さんである。

(写真は和さんが骨折した畦畔ブロックを使って工事を進めた「車椅子の散歩道」)

目次に戻る


○オレオレ詐欺 2009年 10月

わが家へ電話がかかってきてもこちらから先に名前を名乗らないようにしている。
これはオレオレ詐欺が多いからである。先日の夜もこんな電話があった。

・相手側:「もしもし○○○」・・・自分の名前のつもりか?

・こちら側:「え!○○○って誰ですか?」・・・こちらは名前を名乗らないで質問する。

・相手側:・・・何も言わずに電話をきる。

翌日息子に「ゆうべ変な電話があったけど、電話した?」と聞くと
「電話しないよ」と息子が答えた。
「もしもし○○○って言うんだよ。やっぱりオレオレ詐欺か?」
家族でオレオレ詐欺対策について話し合った。
オレオレ詐欺なども、どんどん巧妙になっているという。

※ 警視庁のホームページに「高齢者の安全対策情報」が載っているので見ておこう。

目次に戻る



介護者和さんの骨折 2009年 10月

金さんの介護をしている和さんが、10月17日午前中、家で作業中に第三腰椎を圧迫骨折して全治三ヶ月と診断された。整形外科の医師から入院を勧められたのだが「車椅子の生活をしている金さんを一人で家に残してはおけない」と、医師と相談した結果、在宅で治療して行くことになったという。
和さんの骨折の原因は自分の体力を過信したためである。60代半ばになったのだから若いときのように無理をしなくてもいいのに、無理をして畦畔ブロック(水田のあぜとして使う)を一人で運ぼうとしたためである。この畦畔ブロックは重く一枚で30から40キロもある。前日の16日金曜日に息子と二人で運んでいるときは全く問題がなかったのに、「続きは翌週の休暇の日にやろう」と作業を打ち切った息子に内緒で、17日の土曜日に、「翌週のために少しだけでも余計に運んでおこう」と、重い畦畔ブロックを一人で持ち上げようとしたときに腰が「ゴキ!」といやな音がして力が入らなくなったと言う。和さんはしばらくその場で休んでから、ソロリソロリと家の中に歩いて入ってきて金さんに言った。
(画像は6枚並べた畦畔ブロック)
「ぎっくり腰みたい、腰が抜けたとはこういう状態を言うのかしら!」そして、「整形外科に行ってくる」と自動車のキイを持って、また、ソロリソロリと出かけていった。自分から直ぐ整形外科に行くというのは尋常ではない。

二時間ほどして和さんが整形外科から戻ってきた。もらってきた診断書には、「病名 第三腰椎圧迫骨折 骨粗鬆症 上記疾患にて加療中でありますが、治療上必要のため 腰椎用軟性コルセット 装具の装用が必要です。」と書かれていた。ぎっくり腰ではなく骨折だったのが和さんにはショックだったようだ。少し顔色が良くない。「コルセットを作るのでできあがる来週水曜日にまた来るように」言われたという。「今痛くなくても後で痛むかも知れない。」と、もらってきた痛み止めの薬を飲んで和さんはベッドで横になった。きかん気の和さんも今度ばかりは懲りたようだ。
「悔しいわ、来週の蔵王・米沢への旅行は行けないわね!」と残念そうに言った。

金さんがホームページで調べてみると、腰椎圧迫骨折の治療は手術をおこなうことはまれで、転位がなく足のしびれなどの神経症状がなければベッドで安静による保存療法で治療できる病気だという。個人差はあるもののコルセットなどを使用してほとんどの場合は3ヶ月程度で修復できるらしい。ただ「椎体が潰れた状態で骨癒合を待つので、基本的に潰れた椎体が元の形に戻ることはありません。予後は良好です。」と出ていた。

とにかく起こってしまったことはしょうがない。和さんの骨折を治すことが先決である。
金さん&和さんで話し合った当面の対策についての結論は次の通りである。

1,和さんは約三ヶ月はベッドで安静にして治療に専念する。
2,金さん&和さんの入浴と家事手伝いは、三人の子供たちにお願いする。
3,子供たちが勤務などの都合で2ができないときは金さんは介護保険のサービスを利用する。
4,残っている畦畔ブロックの作業は業者にお願いする。
5,予定していた@からBの計画はキャンセルする。
@「蔵王、米沢の旅」
A「和さんの同期会への出席」
B「金さんの同期会への出席」
6、和さんの太極拳はしばらく休む。
7,和さんのピアノはしばらく休む。

※ 子供たちの手伝いの例

10月19日(月)
 次女がお昼頃和さんの見舞いと家事手伝いに来る。
 金さんが次女に風呂に入れてもらう。→次女午後5時半頃帰る。

10月20日(火)
 長女が休暇をもらって和さんの見舞いと家事手伝いに来る。
 20日、21日 金さんが長女に風呂に入れてもらう。長女21日午後6時頃帰る。

10月24日(土)
 長女が家事手伝いに来る。金さん&和さんが風呂にいれてもらう。

それ以外の日は長男が勤務に支障がないように手伝ってくれた。
金さん&和さんが年々高齢になっていくので、いずれ老老介護が現実になる日も近いだろう。
三人の子供たちにできるだけ迷惑をかけないように、金さん&和さんともに元気な『アクティブシニア』でいたいものだ。

目次に戻る



○ボットウイルスの驚異! 2009年 9月

 9月6日(日曜日)の午後2時から、NHK教育テレビで「ITホワイトボックス・選「迷惑メールがたくさん来るのは
なぜ?」を見た。番組を見て「ボットウイルス」の怖さを知った。ボットウイルスとは、コンピュータウイルスの一種で、感染したパソコンやコンピュータをインターネットを通じて外部からコントロールできるようにするプログラムのことである。ボットウイルスに感染すると、悪意のある攻撃者(ボット操作者)にパソコンが乗っ取られて遠隔操作され、利用者の意思とは無関係に迷惑メールの配信源になったり、くパソコンに保存している個人情報を盗み出される「スパイ活動」などにより深刻な被害をもたらすという。それだけでなく、時には犯罪行為に加担してしまうこともある怖いウイルスである。しかも、ボットウイルスは、感染しても特別な症状がパソコンやコンピューターに現れないことが多いため、感染に気づかずに被害を拡大してしまうことがあるので注意が必要だという。

 私のパソコンには、Norton Internet Security2009 をインストールしている。そして。ウイルス定義ファイルをいつも最新のものに更新して 電子メールやダウンロードするファイルなどをチェックしウイルスに感染しているファイルが見つかると削除している。
 それでも、この日のテレビ番組で取り上げられたボットウイルスが心配になったので、9月6日(日曜日)の夕方、やはり番組で取り上げられていた「総務省・経済産業省連携 ボット対策プロジェクト Cyber Clean Center サイバークリーンセンター」のホームページに行って見た。しかし、混んでいてつながらない。あきらめて翌日の7日(月曜日)の早朝、再アタックすると簡単につながった。
 ホームページに掲載されている「ボットとは」以下の説明を読むと「ボット ウイルスの駆除手順」のところに、ここの「CCCクリーナーをダウンロードする」ボタンをクリックすると「CCCクリーナー」という駆除ファイルがダウンロードできるという。私も念のため「CCCクリーナー」をダウンロードして、これを実行してみることにした。もし、自分のパソコンがボットウイルスに感染していたらこれで駆除を行う事ができる。
 「サイバークリーンセンター(CCC) 」のホームページの「注意」を見ると、「環境により異なりますが数時間かかります。」と、書かれている。「随分時間がかかるな!」と思ったが、安全のためには仕方がない。始めてから完了するまで結局四時間以上かかった。ほぼ半日かかったことになる。それでも完了してボットウイルスに感染していないことがわかりホッとした。そして、すがすがしい気分になった。

 この社会にコンピューターやパソコンがありインターネットが利用されている限りコンピュータウイルスはなくならないだろう。インターネットがどんなに便利でも、それを前提にして対策をしなけれならない人間の社会は、なんとも困った社会になったことか?

目次に戻る



○追跡!A to Z「脳の秘密 未来はどう変わる?」をみて
 2009年 7月

2009年7月11日(土)午後8時からのNHKテレビで、「 追跡ファイル:脳の秘密 未来はどう変わる?」を見た。将棋の羽生善治名人の脳を、MRI(磁気共鳴画像)で写しだして、羽生名人が次の一手などを考える時に、脳のどの部分が使われるか?を解明してプロ棋士の直感力を解析するプロジェクトのレポートである。
自分は、40代と50代に二度の脳出血を経験したが奇跡的に命だけは取り留めることができた。しかし、四肢麻痺と言語障害(構音障害)の後遺症が残り車椅子の生活をしているので、このプロジェクトには多いに興味があった。もしかすると現在自分がやっている自主リハビリの方法の改善について解決の糸口が見つかるかも知れない?そんな期待もして、妻と二人で番組を見ていた。
「追跡!A to Z」の番組のキャスターは、NHKの元社会部記者で「週刊こどもニュース」のお父さん役も務めたことのある鎌田靖解説委員だった。元社会部記者という取材経験豊かなキャスターが、積極的に現場に足を運こび、実際に研究所のMRIで自分の脳を撮影してもらうシーンなども見たが、「NHKだからこそ撮影できる内容である」ことも見ていて強く感じた。
脳の解明は進んでいるというが、脳はまだまだ未解明の所が多い人体の秘境である。自分が65歳を過ぎた頃から、「高齢者の仲間入りをしたんだ!」と意識するようになり、認知症に関係する番組なども見る機会が増えている。それだけに、脳を訓練によってのばす方法や、医学の進歩に繋がる方法などについて取り組んでいるこの番組は、未来への期待が大きいプロジェクトである。

目次に戻る