エッセイ(車椅子の視線から)

 ・・・ 2006年 1月〜2006年 6月 ・・・


 
○ 車椅子の生活十二年 2006年 4月19日 水曜日 
○「散る桜 残る桜も 散る桜」2006年 4月11日火曜日
○ パンダネットで楽しむネット囲碁! 2006年 3月16日木曜日
○ インターネットの光と影−1 2006年 2月24日 金曜日 
○ 新語・流行語大賞の皮肉 2006年 1月28日 土曜日   
○ 大雪のニュース 2006年 1月10日 火曜日




○車椅子の生活十二年(アクティブシニアを目指して)

                 2006年 4月19日 水曜日



今日、4月19日は私が二回目の脳出血で倒れた日です。
あれは1994年の春のことでしたから、早いもので、もう十二年間車椅子の生活をしたことになります。
私は自分が車椅子の生活になるまで、それほど車椅子生活のことを知りませんでした。ところが毎日暮らしてみると、日本では、住んでいる家も町の施設も、いかに車椅子の生活に不便かが身にしみてわかりました。
昔、脳卒中(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血など)は、中風(ちゅうぶ)と呼ばれていました。
あの頃は、リハビリ(リハビリテーション)という言葉も一般的でなく、バリアフリーの思想も日本には無かった時代です。ですから、中風になると、死亡率も高く、例え命が助かっても寝たきりになるのもやむを得なかったのかも知れません。
そういう歴史があるのに、日本の住宅は、車椅子で暮らせるようにはなっていないのです。車庫から玄関に行き着くまでに段差があり、玄関には高い上がり框(あがりがまち)があります。廊下も車椅子で通るには狭くて安全とは言えません。毎日使う洗面所も、トイレも、浴室も、車椅子の生活用にはなっていないのです。寝室だって畳敷きでした。「これではいけない」と改築を考えても、家の改築や新築は経費も高いのでそう簡単ではありません。
私が車椅子の生活になって一番先に考えたのも、家の改修でした。
幸運にも1997年12月に介護保険法が制定され、2000年4月より実施されていました。
介護保険の被保険者は、@.65歳以上の方(第1号被保険者)と、A.40歳から64歳までの方のうち医療保険に加入している方(第2号被保険者)です。 脳卒中に伴って生じた要介護状態に対してはAにより保険給付を受けられるのです。
勤めていた頃、長年にわたってかなり高額と思える国税と地方税を源泉徴収で納めてきました。車椅子の生活になったので、今度は介護保険でサービスを受ける番です。
そこで、退職すると役場の介護保険担当課で要介護の認定をしてもらい、手すりの取付や段差解消などの小規模な住宅改修に介護保険を利用したのです。
しかし、それだけでは車椅子の生活が一部緩和されただけで、相変わらず不便でした。
そこで、妻の退職の機会をとらえて、今度は自分たちの退職金で夫婦の終の棲家にもなるバリアフリーの家を建てました。バリアフリーの家は、車椅子の生活でも快適です。
ここで私はインターネットライフ、妻は菜園ライフをベースにして、アクティブシニアを目指して、いろいろ挑戦しながら元気にやっていこうと思います。

 ※バリアフリーの家を建てる


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○「散る桜 残る桜も 散る桜」2006年 4月11日 火曜日

これは、70才の良寛が30才の貞心尼に恋をして、74才で看取られたときに伝えた辞世の句として知られています。しかし、作者については異論もあるようです。
でも、
パッと咲いてパッと散るのが桜の美しさであり、それ故にこそ桜を愛する金さんには、作者が誰でもそれはどうでもいいことです。
ただ残念なのは、桜の見頃が短いため、うっかりして目標の桜を見逃して花見の時期が過ぎてしまうことです。
金さんと妻の和さんは、毎年、インターネットやテレビ、新聞で桜前線の情報を見、家からそう遠くない幸手市の「権現堂桜堤」と、行田市の「満願寺の枝垂れ桜」を見るのが楽しみでした。
今年は、4月4日「権現堂桜堤」に出かけたとき、ちょうど見頃で良かったのですが、4月9日の「満願寺の枝垂れ桜」は一週間ほど遅れてしまいました。これは、昨年4月8日が満開だったので、今年は桜前線の情報と家の枝垂れ桜の若木の花芽を見て、「4月9日で大丈夫だろう」と思いこみをしたのが失敗のもとでした。枝垂れ桜は若い木よりも老木の方が咲くのが早いのでしょうか?

月日の経つのは早いものですね。金さんが東京都を退職してもう5年経ちました。管理職の同期生で都に残っていた友人も殆どが退職して第二の職場に移っています。
車椅子の生活ですが、花と緑と田園の多い町でユニバーサルデザインの家に住みインターネットライフを楽しんでいる金さんは幸せだと言えるでしょう。

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○ パンダネットで楽しむネット囲碁! 2006年 3月16日木曜日

金さんが老化予防と脳の活性化のために最近始めたものにネットトレイドとネット囲碁がある。
ネットトレイドについてはまた別の機会に書くことにして、ここではネット囲碁について書いてみたい。

ネット囲碁とは碁会所に行かなくて、自宅のパソコンをインターネットにつないで囲碁を楽しむものである。近年、囲碁人口は世界中で年々増加していて、世界の囲碁人口は約4200万人を超えると言われている。多い国を順にあげると、中国2500万人、韓国900万人の次が日本の500万人だそうだ。
(日本経済新聞(2005年6月18日)文化欄による)

金さんは北埼玉の田舎の町で車椅子の生活をしているので、趣味とリハビリのために、碁会所で囲碁を楽しむのは難しい。そこで、インターネットでネット囲碁が楽しめるところを探してみた。そして、世界最大級のインターネット囲碁サロンを自称する「
パンダネット」を見付けた。

ネット囲碁を楽しむのに大事なものが碁盤である。
碁盤が小さくて見にくいと、ゆっくり囲碁を楽しめない。「パンダネット」のホームページを見ると、無料で専用ソフト「PANDA-EGG」をダウンロードして、観戦とお試し対局ができる。最初に対局を観戦し、観戦の後でロボットとのお試し対局(60手まで)を体験してみた。

お試し対局の感想は、画面も見やすいし、障害のある金さんにも使いやすそうである。
すっかり惚れ込んで、早速3月1日に「パンダネット」に棋力一級でオンラインの入会手続きをした。
棋力一級は自己申告なので(仮)がついて、その後の対局によって上下するという。

3月4日にパンダネットの事務局から会員証と「ご利用ガイド」が送られてきた。
ガイドを読んで、いよいよ対局である。
持ち時間は「パンダネット方式」と「秒読み方式」から「パンダネット方式」を選んだ。
白番だった。相手は3級であり置き石2目での対局だった。

1985年に一回目の脳出血で倒れていらい20年ぶりの対局なので少し緊張した。
対局時間が良くわからないので、あまり考えずにに打ちすすめた。
約100手進んだときに、「白時間切れ負け」になった。面白い局面なので、ちょっぴり残念だったが
仕方がない。終局の挨拶をして対局が終わった。かなり疲れた。

対局時間に慣れるには体調を見て対局を増やしていかなければならないだろう。
心の中で心配と楽しみが渦巻いている。
ネット囲碁が脳の活性化荷役だって、老化防止にも役だってくれると嬉しいのだが・・・。

■ パンダネット方式

最初に持ち時間があり、持ち時間がなくなったら秒読みに入ります。
秒読みでは、ある規定の手数を決められた時間に打つ必要がございます。
例:持ち時間5分、秒読み25手10分
最初に持ち時間が5分あり、使い切りますと10分以内に25手着手する必要がございます。
25手を打ち終わりますとまた次の10分に25手を着手する必要がございます。
10分以内に25手を打てなければ時間切れ負けとなります。

                             (パンダネットホームページより引用)



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○ インターネットの光と影−1  2006年 2月24日金曜日

この頃、金さんのホームページ『車椅子の視線から』の画像掲示板への悪質で迷惑な書き込みが増えている。出会い系サイトの一方的な宣伝もあるし、意味のない大量の文字列を羅列しただけのものもある。そのためアクセス制限をしているが、それをかいくぐる迷惑な書き込みには、管理人の権限で見付け次第削除するようにしている。それでもなお、迷惑な書き込みは一向になくならない。
金さんは、二度の脳出血の後遺症で四肢麻痺になり車椅子の生活なので、インターネットにパソコンを使うにも障害のない人の何倍も時間がかかる。
だから、有効に時間を使いたいので、そういう無駄な作業に貴重な時間を費やすのは何とか止めたいのだがそうもいかない。
掲示板(BBS)への悪質で迷惑な書き込みをする犯人は、「誰が書き込みしたか解らないだろう!」とか、「誰が書き込みしたか解らないようにする方法を自分は知っているから大丈夫!」とか、「その都度ハンドルネームを変えたり、住所に当たるIPアドレスを隠すために代理サーバーを使っているからアクセスを拒否できないだろう!」とか、要するにインターネットの匿名性に目をつけた愉快犯が多いと言われている。
このような掲示板荒らしは、金さんがホームページを立ち上げた1999年頃は割合と少なかった。個人のホームページも少なかったし、掲示板(BBS)も今のように多くはなかった。
金さんは、インターネットの普及が、現代の人間の生き方にプラスの影響をもたらしたと認めているが、反面、現代人にモラルの低下をもたらしていると感じている。
金さんはまた、インターネットをコミュニケーションのツールとして使う自分の生き方を、「インターネットライフ」と呼んでいるので、この暗澹としたインターネットを利用する「ネットワーク社会」の中で、どのように生きていくか絶えず考えていきたいと思う。
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○「新語・流行語大賞」の皮肉 2006年 1月28日 土曜日

『現代用語の基礎知識』が選んだ、2005年の新語・流行語大賞のトップテン大賞に、「小泉劇場」、「想定内(外)」が選ばれたのは2005年12月1日のことである。
その時の、「小泉劇場」の受賞者が武部勤(自由民主党幹事長)氏ほかであり、「想定内(外)」の受賞者が堀江貴文容疑者(ライブドア前社長)だったのは、なんとも皮肉である。
おそらく、これらの受賞者も、それから2月も経たないうちに事態が急変して、堀江容疑者は証券取引法違反事件で東京地検特捜部に逮捕され、武部幹事長は、その堀江容疑者を昨年の衆院選で応援した件で、与野党から批判にさらされることになるとは、おそらく想定外だったに違いない。

堀江容疑者はインターネット時代の寵児ともいわれているが、彼の言動に不安を持つ人も多かったようである。たとえば「誤解を恐れずに言えば、人の心はお金で買えるのです。女はお金についてきます」(著書「稼ぐが勝ち」より)と豪語していたし、朝日新聞には「バイトしてみて(東大在学中)、インターネットが大きな市場になることが分かった。大学には、ほとんど行ってません。東大は、入ったことが重要で、人脈も勝手にできる。(サラリーマンになろうと思ったことは)一度もない。」(2004年11月、朝日新聞インタビュー)と答えている。
そもそも、インターネットに出会ったときに堀江容疑者は「これは金儲けに使える」と思ったという。
金さんが、同じインターネットに出会ったとき(二回目の脳出血で休職中にリハビリテーション病院入院中)に「これは障害者のコミュニケーションに使える!」と思ったのと何と発想が違うのだろう。
人間の発想はその人の境遇と過ぎてきた歴史に大きく影響を受けるというが、良い例である


新語・流行語大賞:http://www.jiyu.co.jp/singo/index.html

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○ 大雪のニュース 2006年 1月10日 火曜日

積雪が観測史上最高と記録的な大雪に見舞われている東北、北陸地方の山間部などでは、高齢者が多く除雪作業の人手不足が深刻な問題になっているという。雪国に長年住んでいても、「こんな大雪は見たことがない」と恨めしそうに老人が答えていた。
豪雪による悲しいニュースも多い。テレビや新聞で、屋根の雪下ろしをしていて転落死した人や滑り落ちた雪に巻き込まれて亡くなった人などのニュースを見るたびに、地元では報道されないけが人はこの何倍もいるだろうと思うと憂鬱になる。

若者の多くが都会に出て行き、残されるのは高齢者が多い山間部では、自分の家の雪下ろしも楽ではない。このため秋田、新潟、長野の3県では自衛隊に災害出動を依頼しており、3県では陸上自衛隊が除雪作業に当たっていると報道されている。除雪のボランティアに登録する一般市民も増えているという。しかし、屋根の除雪は誰でもできる仕事ではない。今年の大雪ではボランティアも、「経験のない都会の人は安全のため避けた方がよい」と地元の人も言っている。

私の故郷である長野県信州新町でも、残された老夫婦が、冬の間だけ子供たちの所へ行って世話になるケースが増えているという。年末にログハウスに行ってきた秩父に住む姉さんが、「○○さんも○○さんも子供の所へ行っていて会えなかった」と話してくれた。

日経新聞1月10日朝刊によれば、昨年12月以降の大雪による死者は16道県ですでに71人になるという。長年地域で頑張ってきた人にとってこれは悲しいニュースだ。まだまだ冬は長い。これから先、自衛隊やボランティアの応援を得て、地域に残っている人たちが、この冬をなんとか安全に乗りきってもらいたいものである。



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